2022年4月6日から、雇用主と従業員によって負担される社会保険料(NIC)が引き上げられたことにより、雇用税が2.5%増加しました。これによって、多くの従業員の手取りが減少し、雇用主も社会保険料の負担が増えることになります。
2022年4月以降:
- 雇用主に対し、もともと従業員の所得の13.8%であったNIC実効税率が、15.05%に引き上げられました。
- 従業員に対し、NIC実効税率が所得の12%から13.25%に引き上げられました。(最低または該当NICしきい値による)
中小企業連盟(the Federation of Small Businesses)は、中小企業にとって総コストが57億ポンドに上る可能性があると警告しています。ここでは、サラリー・サクリファイス制度を導入することによる、従業員と雇用主の税金および社会保険料への影響、また、コスト削減の可能性について見ていきます。
サラリー・サクリファイスとは何ですか?
サラリー・サクリファイスとは、サラリー・エクスチェンジとも呼ばれ、従業員が雇用契約に基づいて支払われる給与や賞与などの現金報酬の一部を、現金以外の給付と引き換えに放棄または「犠牲」にすることを意味します。最も一般的なのは、認可された年金基金への相応額の払い込みですが、その他にも自転車通勤制度(cycle to work scheme)といった福利厚生制度への払込みも含まれます。
サラリー・サクリファイス制度の主な利点は何ですか?
サラリー・サクリファイスの下では、従来型の方法で個人年金に拠出するのではなく、サラリー・サクリファイス契約の下で、雇用主が給与の一部(個人による年金拠出額と同額)を、従業員に支払う代わりに年金基金に拠出することに同意します。
従業員への給与支払いとは異なり、雇用主の年金基金への拠出部分には所得税や社会保険料がかかりません。したがって、年金の拠出方法を変更することで、雇用主と従業員の双方が節税を享受することができます。
サラリー・サクリファイスは社会保険料の引き上げに対し、どのような支援策となりえるのでしょうか?
従業員の年金拠出にサラリー・サクリファイスを適用すれば、社会保険料の引き上げに対して得られる最終的な節約額はかなりのものとなりえます。従業員にとっては、年金貯蓄を増やすための正味費用を減らすことができるため、生活費が逼迫する中、明らかなメリットとなります。さらに従業員は、この節約分を年金基金に拠出することにより、長期的な年金貯蓄を増やすことも可能です。雇用主にとっては、サラリー・サクリファイスを導入することで、社会保険料をかなり削減することができ、社会保険料引き上げの広範な影響を相殺することが可能となるでしょう。
どのようにすればサラリー・サクリファイス制度を導入できますか?
サラリー・サクリファイス制度を正しく導入し、制度が歳入関税庁(HMRC)と年金規制局(The Pension Regulator)の基準に準拠しているとみなされるためには、満たすべきいくつかの要件があります。間違いがあった場合、大きな損害が発生します。
サラリー・サクリファイス制度の導入は、雇用条件の変更を伴うため、従業員から明確な同意を得るとともに、それを書面化する必要があります。雇用主としては、雇用契約の変更に関するHMRCのガイダンスや、導入することの技術的な側面に注意を払い、サラリー・サクリファイス制度が確実にHMRCの要件に適合するようにすることが重要です。雇用主は、疾病手当や残業代の計算にあたって、サラリー・サクリファイス金額の控除前または控除後の給与額のいずれを基準とするのかを検討し、従業員がその権利について明確に理解できるようにする必要があります。
詳細については、3CSの担当者にお問い合わせください。