2023年、英国の商業用不動産市場では不動産価格の大幅な価格修正が行われました。しかし、アナリストらは2024年の市場について、長期投資家が安値で不動産を取得する機会と、テナントが新規のリース契約やリース契約の更新に関して良い条件で交渉できる機会の両方があるとし、上向きな評価をしています。
2024年の商業用不動産市場は2023年から引き続くものになるのでしょうか?
2023年の英国不動産市場は、投資家が高いインフレ率と高金利の長期化に直面する一方で、テナントは従業員からの継続的なハイブリットワークへの要望に直面し、厳しい一年となりました。秋期財政報告書を受けて、業界内で期待された印紙税減税が実現せず、期待外れに終わりました。その結果、2023年には投資家が資産価値の下落や借入コストの上昇に直面すると同時に、多くのテナントがオフィススペースの縮小を目指したため、商業用不動産の投資件数は比較的低水準にとどまりました。
アナリストらは、2024年は不動産市場が回復に向かうとの見方を強めています。不動産事業者大手のCBREは、2024年前半は基準金利は高止まりする可能性が高いものの、2024年後半には金利引き下げの現実的な見通しがあり、投資家とテナントの双方にとって不動産取引が活性化する可能性が高いと指摘しています。
英国政府は商業用不動産投資を支援するために何をしていますか?
次の英国総選挙は、商業用不動産市場に影響を与えると思われます。世論調査で保守党が劣勢である中、春季予算で英国政府は待望の印紙税減税を発表すると予想されています。
秋期財政報告書では、投資計画の遅れを解消するための提案や、資本金控除を全額費用化するための提案を含む、英国への長期的な投資の促進を目的とした変更が導入されました。新たな投資対象地域は、グレーター・マンチェスター、ウェスト・ミッドランズ、イースト・ミッドランズ、レクサム、フリントシャーで、将来的には北東部とティーズ・バレーでも計画されています。これらの投資対象地域は、リバプールなどの既存の投資対象地域で成功した投資拡大と追加減税の恩恵を受けることになります。
2024年の商業用不動産投資において、どのようなビジネスチャンスがあるでしょうか?
2024年には不動産市場が改善すると予想されているため、投資家はディストレス資産を低価格で買収する機会をうかがっています。イスラエルの不動産投資グループAriomoriは、カナリーワーフの5 Churchill PlaceをCheung Kai Groupから1億1000万ポンドで購入する交渉を進めていると報じられており、同グループが2017年に同物件に支払った2億7000万ポンドから60%の価格引き下げとなります。フィナンシャル・タイムズは、この取引はカナリーワーフのビルの価格設定のベンチマークとなる可能性が高く、20 Canada SquareやBCG社のオフィスを含む他のビルも今年市場に出る可能性があると述べています。同様の傾向は各不動産セクターでも見られ、不動産事業者大手のサヴィルズは、オフィス、小売、ライフサイエンス、倉庫・物流センター、ロジスティクスにも投資家にとって魅力的な機会があると述べています。
また、投資家である大家が空室、負債コストの上昇、資産価値の下落に苦しむ中、テナントは、新規のリース契約やリース契約の更新時に賃料の引き下げ交渉を行う機会が増えると思われ、サヴィルズは、投資を支えるためには、通常よりも高い水準の賃料の上昇が必要になると述べています。
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