雇用権利法案(Employment Rights Bill)は英国政府の労働法改革の目玉です。この法案は、英国の雇用法に関する主要な改革を示しており、現在は議会審議の最終段階にあります。上院(House of Lords)を通過し、修正案の検討のため下院(House of Commons)に戻っています。

政府は、この法案がクリスマスまでに議会を通過することを期待しています。そうなれば、国王裁可(Royal Assent)は2026年初頭に予想されており、施行は2026年から2027年にかけて段階的に行われます。

本ニュースレターでは主な変更点、施行予定日、そして雇用主が取るべき対応について説明します。

主要な改革とタイムライン

政府は、2026年4月、2026年10月、そして2027年の3段階での変更を予定しています。

  • 2026年4月:待機日なしで適用範囲を拡大した法定傷病手当(Statutory Sick Pay (SSP))、雇用初日から育児休暇を取得できる権利、職場を検査し制裁金や罰金を科す権限を持つ「公正労働機関(Fair Work Agency)」の設立。
  • 2026年10月:特定のケースでの「解雇と再雇用(Fire and Rehire)」の禁止、職場でのハラスメント防止義務(第三者によるハラスメントを含む)、雇用審判所への申立期限を3か月から6か月に延長。
  • 2027年には、通常の不公正解雇(Unfair dismissal)の申し立てに必要な勤続期間(現在は2年間)に関する最も重要な変更が導入される予定でした。しかし、本ニュースレター発行時点での最新報告によると、この変更は2026年に実施される可能性があります。当初は勤続要件を設けず「雇用初日からの権利」となる予定でしたが、直前の変更により、政府は勤続要件を設けることを発表しました。その期間は6か月です。内部告発や労働安全衛生に関連する自動的不公正解雇申し立てなどは影響を受けず、引き続き雇用初日から権利が発生します。
  • 新しい提案では、通常の不公正解雇に対する補償が変更され、年間給与分の上限は撤廃されますが、全体の上限(現在は£118,223)は引き続き適用されます。これが法律として施行される時期はまだ明らかになっていません。

最近の動向

この法案では「制限付き変更(Restricted Variation)」という概念を導入し、どの契約変更が新たな解雇保護を引き起こすかを定義します。対象となるのは賃金、労働時間、年金拠出額の削減など特定の変更のみです。さらに、契約変更を強制するために、労働者を解雇し、派遣社員で置き換えることは禁止されます。

2025年11月、政府は以下の4つの協議を開始しました:

  • 労働組合の職場へのアクセス
  • 妊婦および産後の母親への保護強化
  • 忌引休暇と手当
  • 初期期間(Initial Period)中の解雇手続き

これらの協議は2025年12月から2026年1月にかけて締め切られ、その結果が今後の規制の策定に影響します。協議への参加は雇用主が最終的なルール形成に関与する機会となります。

企業への影響

企業は2026年以降、より厳しい規制環境に備える必要があります。雇用初日からの法定傷病手当と育児休暇の権利付与はコンプライアンス義務を増加させ、整理解雇やハラスメント違反に対する罰則も強化される見込みです。

不公正解雇に対する2年間の勤続要件廃止は数十年ぶりの大きな変更であり、雇用初期段階におけるパフォーマンス管理や懲戒問題のより慎重な対応が求められることになります。

新設される公正労働機関は、調査を行い、制裁金や罰金を科す権限を持ちます。企業は賃金、休暇、協議、シフト通知に関するポリシーを見直すべきです。

従業員への影響

従業員は、より強固な雇用保障、法定傷病手当の適用範囲拡大、不公正な扱いや搾取的な契約変更からのより強力な保護といった恩恵を受けることになります。

ただし、これらの新たな権利の正確な施行時期は段階的であり、二次立法に依存します。

3CSにできること

3CSは、貴社が雇用権利法案に備えられるよう、貴社の状況に合わせたポリシーの見直し、研修、コンプライアンス支援を通じてサポートします。

是非3CSにお問合せいただき、貴社が今後の改革に備えられるようご確認ください。

John Clinch

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