本ニュースレターのパートI, 2,3では、2021年9月30日の一時自宅待機制度(Furlough Scheme)の終了に伴う短期的な景気の落ち込みに対処する方法をご紹介しました。
企業は、恒久的な構造変更(整理解雇など)を避け、その代わりに中間的な解決策を検討し、一時自宅待機制度の終了から通常業務への復帰までのつなぎとして利用することが可能です。中間的な解決策としては、一時的な社員数の削減、仕事量の削減、給与や福利厚生の削減などが考えられます。今回のニュースレターでは、雇用主がスタッフの給与や福利厚生を削減する方法に焦点を当てます。
コスト削減のために、スタッフの給与や福利厚生を削ることは可能でしょうか?
1. 給与代替
給与代替制度とは、通常、非現金福利厚生と引き換えに、従業員の現金報酬の資格を減らす制度です。給与代替は税金面の利点から、魅力的な制度です。例えば、従業員が100ポンドの育児バウチャーと引き換えに100ポンドの給与を放棄した場合、育児バウチャーの金額に対する所得税や国民保険は差し引かれません。その他の給与代替制度には、社用車制度、自転車通勤制度、追加の職域年金負担金などがあります。
しかし、給与代替は、雇用者の国民保険料の削減をもたらすのみであるため、財政支出に影響を与える方法としては限定的です。給与代替制度の導入を検討する場合、会計士のアドバイスを受ける必要があります。
2. 給与凍結
これは給料が同じままである事を意味しますが、従業員の給与はインフレにより実質的には減少します。雇用主にとっては即座にコスト削減にはなりませんが、将来的にはコスト削減につながります。
3. 給与削減
雇用主は、給与に関するいかなる変更に関しても、従業員の明確な同意を必要とします。一方的に変更を強要した場合、契約違反、不法な賃金控除の請求や、もしくは2年以上継続して雇用されている従業員からの不当解雇の申立ての可能性につながります。また、契約違反は、制限約款が法的効力を持たなくなることを意味します。
従業員が給与削減に同意しない場合、雇用主は従業員を解雇し、減給した給与で再雇用することを検討するかもしれません。この方法を適用する場合、解雇が公正であるかどうかはそれぞれの事実関係により異なるため、この方法を適用する前にアドバイスを受ける必要があります。
4. 賞与の未払い
雇用主がボーナスの支払いを拒否できるかどうかは、その制度が契約上のものか、裁量的なものかによって異なります。ボーナス制度が契約上のものである場合、雇用主が雇用契約からボーナス制度を削除するには、従業員の同意が必要となります。
ボーナスが裁量的である場合でも、ボーナスを授与するかどうか、およびその金額を検討する際には、合理的に裁量を行使する必要があります。スキームが裁量的であることが意図されていたとしても、ボーナス条件が意図せずに契約条件となっている可能性があるため、注意が必要です。雇用契約からボーナス条項を削除する前にはアドバイスを受ける必要があります。
雇用主がビジネス上の理由で変更することに関して、正直かつオープンである場合、従業員は変更をより好意的に受け止めることができるでしょう。いずれかの制度の契約状態について不明な点がある場合は、法的なアドバイスを受けることをお勧めします。
私たちは、このような困難な時期を乗り切るための、アドバイスとサポートを提供いたします。お問い合わせは、3CSの担当者までご連絡ください。