先週お伝えした新しい借主の権利法2025(Renters’ Rights Act 2025)(以下「本法」)の概要に続き、今回は開発および投資への影響を簡潔にご紹介します。
各種居住施設への影響
- 学生専用住宅(Purpose Built Student Accommodation (PBSA)) – 家主またはその管理者が政府認可の行動規範(例:ANUK、Unipol National Code)に加入し、かつ、特定の教育機関に通うフルタイム学生へ賃貸する場合、本法の多くの規定が適用外となります。当該規範の提供団体から、デポジットを第三者機関の保護スキームで保全することを求められる場合があります。
この種の賃貸借は一般的にコモン・ロー上の賃貸借であり、家主は学校の年度に合わせた定期契約を引き続き締結できます。学期または年度の全期間分の前払い家賃を請求することも可能です。 - 短期賃貸借契約 – 純粋なバケーションレンタルや、短期労働者向けのサービス付き施設等は、一般的に本法の適用外です。同様に、居住者が排他的な占有権を持たず、事業者がサービス提供および物件管理をコントロールしている場合も、本法は基本的に適用されません。
家主は、居住者との契約内容が意図せず長期賃貸借の定義に該当し、本法の遵守義務が生じてしまわないよう、契約書面の文言を明確にし、不要な法的責任の発生を防ぐ必要があります。
不動産開発・投資および関連する商業上の検討事項への影響
不動産開発
不動産開発業者は、物件がディセント・ホーム基準(Decent Homes Standard)を満たすだけでなく、その水準を維持するための維持管理が効率的であることを確実にする必要があります。
投資
- 投資戦略 – 維持費の増加や、所定の基準を満たすための修繕が必要な場合の空室期間の長期化により、家主は投資戦略を新しい賃貸市場環境に合わせる必要があります。
物件の良好な外観・内装、高品質なマーケティング、ペット可などの柔軟な対応は、空室期間を短縮し、優良な入居希望者を惹きつけることにつながる可能性があります。
また、家主は家賃引上げを効率的に行い、法律上認められる最も早い時点で見直しができるよう、賃料改定手続の体制を整える必要があります。多数の物件を保有する家主は、財務状況を管理するため、改定時期を分散させることができます。 - 資金調達構造 – 融資者は新法の厳格な遵守を求めることになるため、家主は物件基準の遵守、長期的な維持管理義務を果たすための投資、オンブズマン制度の費用、データベース費用、そして融資者側が法令遵守を確認するための厳格なデューデリジェンスを要求する場合に発生し得る法務費の増加など、追加費用を予算に組み込む必要があります。
これまで借主から契約時により高額な支払いを受けていた家主は、今後は最大5週間分までのデポジットで運営する必要があります。 - プロジェクトの実行可能性 – 開発業者および投資家は、初期段階からコスト増加と賃貸借に伴うリスクを考慮し、事業全体の収益性を検討する必要があります。適切な開発・投資物件の選択は、膨大な出費、借主再入居に関する法的責任、地方自治体から科される重大な制裁金などを回避するうえで極めて重要です。
- 長期収益 – 開発業者および投資家は、長期的な投資収益を最大限に維持するために、入居開始時点で適切な家賃設定を行い、毎年の家賃見直しの機会を確実に活用することが賢明です。
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