借主の権利法2025(Renters’ Rights Act 2025、以下「本法」といいます)は、すでに国王裁可(Royal Assent)を受けており、2026年に施行される予定です。本法の各規定は、同年5月以降、主に3つの段階に分けて順次導入されます。
この段階的な施行は、家主および投資家が制度変更に備えるための十分な準備期間を確保することを目的としています。また、2025年11月には、政府が家主および不動産仲介管理業者向けに24本のガイダンスを公表しました。
本法の影響
- 第21条立ち退き(Section 21 Evictions)の廃止:第21条が廃止されるため、今後、物件所有者は1988年住宅法(Housing Act 1988)第8条に基づいて問題に迅速に対応できる体制を整える必要があります。第8条に基づく措置の根拠には、家賃滞納、賃貸借契約違反、物件の損壊、反社会的行為などが含まれ、家主はこれらを裁判所において立証する必要があります。
また、家主が物件の売却や自ら居住をしたい場合であっても、借主は12か月間、立ち退き請求から保護されます。 - 複数か月分の前払い家賃の禁止:家主が請求できる前払い家賃は1か月分までに制限されます。賃貸借契約が締結されるまでは、家賃を受領することはできません。
- ディセント・ホーム基準(Decent Homes Standard)およびアワブ法(Awaab’s Law):ディセント・ホーム基準(decent home standard)は、従来の公営賃貸住宅セクターから民間賃貸住宅にも拡大されます。本法の一部として導入されるアワブ法により、公営住宅の家主は、緊急性のある危険について24時間以内に調査・是正を行うか、借主を別の住居に移す義務を負います。また、深刻な結露やカビについては10日以内に調査を行い、調査後5営業日以内に是正措置および安全確保のための対応を取らなければなりません。
- 学生専用住宅(Purpose Built Student Accommodation (PBSA))の例外:学生専用住宅(PBSA)の提供者は、政府認可の行動規範に登録する必要があります。これを満たす場合、学生専用住宅(PBSA)の家主は、自動更新付き定期借家契約(assured periodic tenancy)の規制の適用を受けず、学校の年度に合わせた定期契約を締結することが認められます。学期単位または年単位での家賃請求も可能です。
- コモン・ロー上の賃貸借の除外:一定のコモン・ロー上の賃貸借は本法の適用対象外とされます。これには、年間賃料が£100,000を超える場合、法人に賃貸される物件、真正なライセンス契約、または契約期間が21年を超える定期契約などが含まれます。
- 民間賃貸住宅セクター・データベース:各賃貸物件について家主が有効な登録を維持することを求めるデータベースが導入されます。Build to Rent投資家のように複数の物件を保有する場合には、登録情報が常に最新の状態に保たれていることを確保する必要があります。なお、データベースの具体的な運用方法については、現時点では公表されていません。
- より厳格な執行措置:家主は物件の状態を適切に維持する必要があり、カウンシルには規制を執行する法的義務が課されます。また、必要な住宅基準を満たしていない家主に対して、より厳しい措置を講じる権限がカウンシルに付与されます。
本法の施行スケジュール
- 2025年10月27日:本法が議会を通過し、国王裁可を受け、段階的施行が決定
- 2026年5月1日 – フェーズ1:
- 定期契約の終了
- 第21条に基づく「過失なき」立ち退き手続の廃止
- 子どもの有無や給付金受給を理由とする差別の禁止
- 家賃入札および前払い家賃の禁止(広告額を超える家賃の受領も不可)
- 借主がペット飼育の許可を申請可能
- 家賃の値上げは年1回に制限
- デポジットの上限は家賃5週間分
- Rent Repayment Orders(特定の違反行為を行った家主に対する家賃返還命令)に関するカウンシルの権限拡大および最大制裁金の倍増
- 悪質な家主への対応および住宅基準の執行を目的として、カウンシルに物件検査および情報取得に関する追加権限を付与
- フェーズ2およびフェーズ3:実施日は未定だが、2026年末以降となる見込みで、以下が導入される予定
- 民間家主データベース
- 民間賃貸住宅セクター・オンブズマン
- ディセント・ホーム基準(decent home standard)
来週、本シリーズのPart 2として、賃貸物件の開発および投資に関与する事業者への影響について解説する予定です。
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