控訴院は最近、電子通信コード(Electronic Communications Code) に基づく重要な紛争について判決を下しました(AP Wireless II (UK) Limited v On Tower UK Limited (Cathcart) [2025])。この判決は、無期限で自動更新される通信用地契約を「賃貸借契約」とみなすべきか、単なる「ライセンス(使用許可)」とみなすべきかを明確にしました。
この判断は、通信設備を設置している不動産所有者や貸主にとって極めて重要です。なぜなら、契約更新権や賃料算定の方法に直接影響するからです。本ニュースレターでは、本件の背景と裁判所の判断、さらに不動産所有者への影響や将来の契約に与える意味について解説します。
紛争の背景
本件は1990年代後半に締結された通信基地局用地契約に関わるものでした。契約には10年間の最低期間が定められており、その後は双方が12か月前通知で解約できる内容でした。争点は、最低期間経過後の契約が 1954年法に基づき更新請求権や市場賃料が認められる「賃貸借契約」なのか、あるいは電子通信コードに基づき、事業者に有利な評価方式が適用される「ライセンス」なのか、という点でした。
控訴院の判断
裁判所は、この契約には確定的な契約終了日が存在しないため、賃貸借契約ではないと判断しました。有効な賃貸借契約には「確定した期間(終期)」が必要ですが、本件契約は最低期間を過ぎると無期限に継続可能であったため、その要件を満たしていなかったのです。契約が排他的占有権や賃料支払い義務を定めていたにもかかわらず、裁判所はこれは単なるライセンス契約であると結論づけました。
また、裁判所は「救済」として黙示的な定期賃借権を認めることも拒否し、確定性の欠如こそが決定的要素であると強調しました。その結果、通信事業者は1954年法による更新権ではなく、電子通信コードに基づく更新権を行使できることとなりました。
不動産所有者への影響
この判決は、不動産所有者にとっても重要な影響を及ぼします。
- 既存契約:無期限や自動更新条項を含む契約は、名称にかかわらず「賃貸借契約」とは認められない可能性があります。その結果、所有者が想定していた権利が制限される場合があります。
- 更新:ライセンスであれば更新は1954年法ではなく電子通信コードに基づき行われます。賃料は通信ネットワークによる利益を考慮しない評価方式で評価され、市場相場より大幅に低くなることが多いです。
- 交渉:通信事業者は本判例を根拠に、コードに基づく低額評価を主張してくる可能性があります。所有者は更新交渉に入る前に契約内容を十分に精査する必要があります。
- 将来の契約:不確実性を避けるため、新規契約には10年や20年など明確な期間を定めることが推奨されます。
2017年改正後のコードに基づく権利と賃料評価
2017年のコード改正により、賃料評価はすでに通信事業者に有利な方向へと大きく傾いています。契約が「賃貸借契約」であれば、最初の更新は依然として1954年法に基づき、より高い市場賃料が適用される可能性があります。しかし「ライセンス」と判断されれば、コードが適用され、土地利用料は引き下げられることになります。
今回のCathcart判決は、多くの無期限条項付き契約が「ライセンス」と扱われることを明確にしました。その結果として、今後ますます更新がコードに基づいて行われることになります。将来的には法改正により両制度の整合性が高められる見込みですが、現時点では契約の分類が収益に大きな影響を及ぼします。
3CSにできること
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