これほどの失業が発表された日はかつてありません。今夏には既に175,000人が整理解雇されており、9月末までには3社中1社が整理解雇を計画する見込みです。特定の仕事への必要性が減っている場合や、単に仕事の一部を継続する余裕がない場合、コスト削減は多くの場合には人員整理によって達成されます。
整理解雇プロセスには、スタッフに対する契約上および整理解雇手当の支払いだけでなく、大変複雑なプロセスを実行する時間の確保など、十分なリソースが必要です。一時自宅待機制度(furlough)が縮小し始めているところ、整理解雇プロセスはかつてないほどに重要であります。
初期段階でミスを犯すと、コストが高くつき、スタッフの士気やビジネスの評判にも悪影響を及ぼします。そこで、本ニュースレターにおいては、雇用主が過ちを犯しやすい5つのポイントをご紹介します。
- 整理解雇が真に必要な状況が欠如していること
- 経済不況を、パフォーマンスの悪い従業員の解雇を整理解雇と偽装する機会であるとみなしてはいけません。整理解雇が必要な状況が真に存在することを示せない場合には、不当解雇として高額の法的請求に直面する可能性があります。
- 仮に整理解雇が真に必要な状況だとしても、今一度自問するべきです。他に実行可能な選択肢はないでしょうか。急いで整理解雇プロセスに突入することは、企業が貴重で高度なスキルを持つスタッフを失うことを意味する可能性があります。整理解雇の代わりに、他の経費の削減、採用の中断、残業の中止を行えないでしょうか。
- 整理解雇のリスクがある者や不適切な候補者層 (pool)を誤って選択すること
多くの雇用主は、最初の手順の一つである、整理解雇の「リスクがある」者の決定でつまづきます。
- 解雇されるべき者を公平に選択することは、「リスクがある」従業員の候補者層(すなわち、企業が選択する整理解雇されうる従業員の候補者層)に、客観的な選択基準を公平に適用するということです。
- 候補者層を定義するための決まったルールはありませんが、
- 整理解雇する候補者層を狭く定義しすぎたり、同じまたは類似の仕事を行う従業員に限定したりしないでください。類似の仕事をする従業員がいるか(他の職場の場合もあります)をチェックし、従業員が実際に何をしているのか、そして彼らのスキルは相互に交換できるかを考えてください。
- 選択基準が差別的でないか、また差別的な結果をもたらすことがないかを確認してください。例えば妊娠や年齢で選択してはいけません。
- 「候補者層の選択」の段階で合理的に行動しない場合には、差別や不公正解雇に対する複雑な法的主張につながる可能性があります。
- 候補者層を選択したらすぐに、できるだけ多くの警告をスタッフに対して与えなければなりません。
- 適切な代替雇用を提供しないこと
- 同じ会社だけでなく、海外拠点を含む関連会社においても、雇用主には適切な代替雇用を確認する法的義務があります。
- たとえ報酬や責任の削減や再トレーニングが含まれていたとしても、可能性のある役割について話し合ってください。
- 個人が興味を持たないだろうと思い込んではいけません。欠員には常に注意を払ってください。
- 代替雇用は、整理解雇が必要かもしれないと雇用主が気づいたときから従業員が実際に退職するまでの間、雇用主が常に負う義務であることを忘れないでください。
- 集団的協議をしないこと
- 一つの職場において20名以上の解雇が提案される場合には、集団的協議が必須です。
- 最低協議期間の定めがあります。雇用主が90日以内に20名から99名の従業員の解雇を提案する場合には30日、従業員が100名以上の場合には45日です。
- 雇用主は、20名以上の従業員を整理解雇する場合にはその旨を担当大臣に通知しなければなりません。通知しないことは犯罪であり、有罪判決および無制限の罰金が科される可能性があります。
- 真に協議しないこと
- 「どんなことがあっても」整理解雇を行う、ということを前もって決めないでください。そうでなければ、実際に不公正解雇を主張されるリスクがあります。
- 先入観を持たないように。「それが結果に何らかの違いをもたらすことはない」という態度で相談に応じてはいけません。直ちに雇用審判所に持ち込まれる可能性があります。
- 提案が形成される段階で協議してください。従業員はビジネスを熟知しており、管理職が考えもしなかったコストの効率化または新しいビジネスの創造の方法について、良いアイデアを持っているかもしれません。
- 最後に。センシティブかつタイムリーなコミュニケーションの重要性は、いくら強調してもしすぎることはありません。従業員が正しい方法で、正しいルートを通じて情報を得られるようにしてください。
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