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雇用契約終了後の制約 - 最新判例アップデート

06 December 2019

Steven King

雇用契約終了後の制約(Post-termination restrictions (PTR))とは、雇用契約終了後の一定期間にわたって従業員に制約を課すものです。 これらの制約には、競合他社への就職の禁止(non-compete条項)、以前のクライアントへの接触禁止(non-solicitation/non-dealing条項)、および以前の同僚への接触禁止(non-poaching条項)が含まれます。 これらの制約条項は、雇用主が保護すべき正当なビジネス上の利益の存在を証明でき、従業員に課す制限が合理的である場合以外は、一般に違法と見なされています。

 

以前の弊所ニュースレターで、雇用契約終了後の制約条項を雇用契約書に記載する事の重要性と、厳しすぎる制約条項は法的拘束力が無いとみなされるため、そのバランスを正しくとる事の意義についてご説明しました。最近になって、英国の最高裁判所は、制約条項のうち厳しすぎる部分を「切断分離」し、残りの制約部分については法的拘束力を保持させるとした判例を確立しました。 これは、「Egon Zehnder Ltd v Tillman」という判例にて確定され、雇用主と従業員の両者に重要な変化をもたらし、適切に起草された制約条項を含めることの重要性を改めて強調することになりました。

 

この判例では、従業員のティルマン夫人は12か月間non-compete条項に制約され、競合ビジネスについて「関与するまたは利益を持つこと(concerned or interested)」を禁止されていました。 この条項は、彼女が競合他社で働くことだけでなく、競合企業の少数株主になることさえ禁止していました。 これは、例えばアップル社の元従業員が株式マーケットにてサムソン社の株式を購入するのを禁止するようなものです。 これは明らかにビジネス上の利益保護のための合理的範囲を超えており、判決において最高裁判所はまた、当初の制約の範囲が広すぎることも確認しました。 ただし、「または利益を持つこと(or interested)」という言葉を制限から切断分離して、残りの条項に法的拘束力を持たせることもできると判断しました。すなわち、以下のようになります:

 

「競合するビジネスの全てにおいて、直接的または間接的に従事するか、関与するまたは利益を持つことを禁止する。」
切断分離の原則を適用する場合、裁判所は以下について検討する必要があります:
(i) 法的拘束力を与えるのが不適切な用語を削除する際に、文章に追加や変更を加える事なく行なえるか
(ii) 法的強制力を与えると不適切な条項を削除すると、契約書の本質が変わってしまい、当事者が意図していた種類と異なってしまうことはないか

 

上記判例の場合、「利益を持つこと」という言葉は、残りの文言を変更することなく、契約全体の効果に大きな変化を生じさせることもなく削除できると判断されました。 この判例は、制約約款の修正には一般的に反対であるという今までの英国裁判所が採用してきた立場に反するものとみなされる可能性があります。 法的強制力を持たせるのが適切でない条項を法的強制力のある条項に変換するというのは、裁判所の業務ではないからです。

 

この判例では、切断分離の原則によって雇用主を基本的に救済することになりましたが、これは今までと異なる大改革というよりは、単に文言の選択において幸運であったことに助けられたと言うべきでしょう。 さらに、この判決を得るために、過去2年以上にわたって会社側は高等裁判所、控訴裁判所、最高裁判所で戦わなければならなかったことも言及しておきます。 また、雇用契約書作成当時に適切に条項を起草していれば、この問題の発生自体を防げた可能性もあります。

 

この判例は会社側にとっての勝利と捉えられるかもしれませんが、適切に検討され十分に起草された契約書作成の重要性について、すべての雇用主に注意を喚起するものとなるでしょう。

 

雇用契約終了後の制限を含む雇用契約書の起草に関するアドバイスをご希望の場合、弊所の雇用法チームにお問い合わせください。

法律、および人事に関する最新情報をご希望の方は、弊所ニュースレターをお申し込みください。

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