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ニュースレター

[雇用法] ワクチン接種とGDPR

21 May 2021

Jasmine Chadha


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Covid-19パンデミックの結果、多くの雇用主が困難かつ未経験の雇用法上の問題に直面しています。すべての雇用主が、合理的に実行可能な範囲で、従業員の安全衛生および福祉を確保する法的義務を負っていることは既にご存知のことと思います。職場復帰戦略の一環として、現在、多くの雇用主が、従業員にCovid-19のワクチンを接種したか尋ねることを検討しています。これにより生じる重要なデータ保護の問題について、ここで検討してみます。


従業員にワクチン接種状況の開示を求めることができますか?

はい、従業員にCovid-19のワクチン接種を行ったかを尋ねることはできますが、尋ねる理由を明確にする必要があります。この種の情報は、英国GDPRでは「特別カテゴリーデータ」として分類されているため、データを処理するためには特定の条件を遵守しなければなりません。このデータの使用は、公正で、必要であり、特定の目的に関連していなければなりません。明示的な同意の様な英国GDPRの第9条に定める処理条件、または雇用(たとえば従業員の安全衛生および福祉の確保)などを満たす必要があります。

英国個人情報保護監督機関(ICO)は、ワクチン接種状況のデータを収集して何を達成しようとしているのか、スタッフのワクチン接種状況の記録がその達成にどう役立つのかを明確にする必要があると述べています。特に、この情報の収集が従業員の取り扱いを不公正や不当にするものであってはならず、合理的に期待される目的のためにのみ使用しなければなりません。


どのような合法的根拠に基づいて従業員のワクチン接種状況を記録するべきですか?

ワクチン接種状況に関する情報収集に正当な理由がある場合、データ処理するための合法的根拠があると考えられます。職場を運営する多くの雇用主は、Covid-19のリスクアセスメントを実施し、従業員の安全衛生の保護をする必要があるため、そのようなデータを収集する正当な理由があります。


データ保護影響評価(DPIA)を実施する必要がありますか?

個人にとって「高リスク」である可能性のある、あらゆるタイプのデータ処理について、データ保護影響評価(DPIA)を実施する必要があります。例えば、ワクチンを接種していない場合に雇用機会が拒否される場合などです。疑いがある場合は、データ保護影響評価(DPIA)の実施をおすすめします。


データ保護影響評価(DPIA)には何が必要ですか?

以下のような点を考慮する必要があります。

  • データ保護影響評価(DPIA)の必要性の特定、および情報が何に使用されるかの説明

  • 必要性および釣り合いの評価‐すなわち、その情報が本当に必要なのか?

  • リスクの特定、評価、およびリスク軽減措置の実施

  • 決定およびその理由の記録

  • システム見直しの継続

ワクチン接種したかどうかを伝えることを拒否された場合はどうなりますか?

ワクチン接種したかどうかを伝えなかったからといって、ただちに懲戒にしてはいけません。最善のアプローチは、相手がなぜその情報を提供したくないかの理由を理解することに焦点を当てた、オープンで透明性あるコミュニケーションです。例えば、どのようにその情報が使用・保管されるか、あるいは他の従業員に共有されることに対する懸念があるかもしれません。この点については、安心感を与えるとともに、GDPRに準拠したデータ保護方針を参照してもらうことができです。また、雇用主には従業員の安全衛生を保護する義務があり、この情報は、潜在的なリスクを評価して、スタッフを保護するための緩和策を合理的に可能な範囲で講じる上で役立つと説明することもできます。しかし、状況によっては、ワクチン接種状況を開示しなかったことが懲戒事項として取り扱われることがあります。

従業員全員にワクチン接種を義務付けることはできますか?

いいえ。スタッフが職場復帰する前にワクチン接種を義務付ける包括的な方針を適用することはできません。ワクチン成分に重篤なアレルギー反応を示す人の中には、ワクチン接種を避けるようアドバイスされている人もいれば、特定のワクチンを避けて、他のワクチンを優先しするようアドバイスされている人もいることを覚えておいてください。例えば、血液凝固の既往歴がある人はアストラゼネカのワクチンを避けるようにアドバスされており、特定のワクチン接種の予約に遅れが生じる可能性があります。したがって、ワクチン接種を拒否したり、ワクチン接種を遅らせたりしている理由を理解することが不可欠です。

しかし、ワクチンを接種した従業員と接種していない従業員に対して異なる扱いをすることにはリスクもあります。規定・基準・慣行(PCP)により、保護特性(身体障害、性別、年齢など)を持つグループが、保護特性を持たないグループと比較して著しく不利な立場に置かれる場合には、間接的差別が発生します。雇用主は、PCPが正当な目的を達成する相応な手段であることを示す必要があります。また、ワクチン接種を義務付けることが、この目的を達成する相応な手段であることを示す必要があります。それぞれの状況に応じて、貴社のアプローチや方針による、差別の潜在的なリスクがあるかどうかをケースバイケースで評価する必要があります。自社のポリシーがこのような罠に陥らないように注意してください。


従業員はどのような差別の主張を提起できるでしょうか?

例えば、もしワクチン接種した従業員はオフィスに復帰することができ、ワクチン接種していない従業員は在宅勤務をし続けなければならないという方針を導入した場合、これは特定のグループに対する間接差別となる可能性があります。例えば、基礎疾患があるためにワクチン接種を推奨されていない人がいるかもしれず、これは障害差別となり得ます。あるいは、政府は30歳未満には未だワクチンを認めていないので、年齢差別となる可能性もあります。


ワクチン接種を拒否する者を解雇することはできますか?

ワクチン接種を拒否した従業員の解雇は、不公正解雇や差別の主張をもたらす非常に大きなリスクとなります。これは未検証の法律分野ですが、ほとんどの雇用主はこれらの状況で公正解雇の立証に苦労するでしょう。(保護特性である)哲学的信念を理由とした差別である可能性が示唆されていますが、これは反ワクチン接種運動の信念は首尾一貫していて民主主義社会では尊敬に値するものであることを意味しており、そのため疑わしいものです。


スタッフがワクチン接種したかどうかに関する情報を収集する場合、他に何をしなければならないでしょうか?

雇用主がなぜこの情報を収集する必要があるのか、何のために使用しているのかをスタッフが理解していることを確認してください。ワクチン接種状況を機密情報として取り扱っていることを伝えてください。収集する情報を限定してください(例えば、接種したワクチンの銘柄を知る必要はありません)。収集した情報を正確に記録し、限られた人だけがアクセスできるよう、安全に保管してください。例えば全員がワクチン接種した場合など、このデータを収集・保持する理由がなくなった場合には、データを破棄する必要があります。


この分野は新しく、未検証の領域であり、全ての雇用主はかなりの不確実性を背景に難しい決断を迫られていることを覚えておいてください。データ保護方針や個人情報保護方針の見直しや更新、職場復帰戦略の実施についてアドバイスをご希望の場合は、弊所までご連絡ください。

法律、および人事に関する最新情報をご希望の方は、弊所ニュースレターをお申し込みください。

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Jasmine Chadha